2006年度大阪大学院試験
理学研究科化学専攻の基礎化学の問題[1]
1−1 NH3とNF3について、次の問に答えよ
問1 NF3のルイス塩基性はNH3よりも小さい。 その理由を述べよ。
N、H、Fの電気陰性度はそれぞれ、2.5、2.1、4.1である。
よって、NとHより、NとFのほうが電子がNからFのほうに引き寄せられる。
つまり、非共有電子対もFのほうに引き寄せられている。
ルイス塩基は非共有電子対の供与性の大きさに比例するため、
より分子内に引き寄せられているNF3はルイス塩基性が小さくなる。
問2 NF3の結合角(102°)はNH3の結合角(107°)よりも小さい。
その理由を述べよ。
VSEPR則によれば、メタンなどの正四面体型の構造を持つ分子の場合
非共有電子対同士の反発が最も大きく、
その次に、非共有電子対と共有結合との反発が大きくなる。
NH3とNF3では、HまたはFが3つと、非共有電子対が1つあり、
非共有電子対とN−H結合またはN−F結合との反発が結合角を決める。
Hは1s軌道に電子が入っているだけであるが、
Fは2pまで電子が入っており、空間的に広がっている。
よって、N−F結合との反発が大きくなる。
つまり逆に、N−F結合同士が近づき、結合角がNH3より小さくなる。
問3 NF3の沸点(-129℃)はNH3の沸点(-33℃)よりも低い。
その理由を述べよ。
Hは電気陰性度の高い、NやOと水素結合を作ることができる。
よって、NH3では水素結合により、気化させるためのエネルギーが
より多く必要とされる。よって、NF3の方が沸点が低くなる。
2005年08月28日
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